限界♪それでもやぱりブロークン♪
〜ゲンカイ ソレデモ ヤッパリ ブロークン〜



「だいたいのデータは取り尽くしましたね。」
ある日、端末のデータベースを確認しながらスタッフの人が呟く。
あたしは直立不動で待機中。
今日はデータ採取のための実験が一切予定されていない。


「ああ・・・すでにボーカロイド01は順調らしいからな。」
「このデータって・・・それの役に立ちますかね?」

もうひとりのスタッフの人は真剣な表情で肩をすくめる。
「さぁ?」


その後、2人はあたしの方に向き直る。
「で、この失敗作はどうするんですか?」
「そりゃ、今度こそ破棄するよ。これ以上予算は割けないさ。」

あたし
はその言葉に息を飲んだ。


あれ・・・?そんな・・・あんなに頑張ったのに・・・
それでもやっぱり破棄されるんだ?
せっかく・・・
あの人が助けてくれたのに・・・
駄目なんだ・・・やっぱり駄目なんだ・・・なんで・・・


どこかで何かの糸がぷっつり切れた感じがして−
それから目の前が真っ暗になった気がした。
立つのも辛くて横の壁にもたれかかる。
どうしよう・・・どうしたら・・・えっと・・・





「あの、あの・・・!!」
「あ?」

あたし
はデータを確認していたスタッフさんの前に走りこむ。
そして、地面に頭をこすりつけた。


「なんでもします!なんでも言うことを聞きます!!」
涙で顔をくしゃくしゃにしながら、何度も懇願した。
「お願いします!!お願いします!!破棄は・・・嫌です・・・」
「・・・」



でも、スタッフの人たちは呆れるだけだった。
「はぁ・・・ダメだなこのイリーガルな機体。」
「はい。とんだダメダメ試作機です・・・」

あたし
はそれでも構わず一生懸命にお願いした。


だって・・・
だって、
あの人に会いたいっ!!
あたしあの人にお礼も言えてないんですよ?
その前に破棄なんかされたなくない・・・されたくないもん!!!


「ちょっと待って下さいッ!!」
「!!」
大きな声だった。
そして・・それは・・・聞いたことのある声だったの・・・


この声って・・・
間違いなよね・・・聞き間違えるはずなんてないよッ!!
だって・・・だって・・・あの時の声と同じだから・・・
あの人の−!?



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概要

もくじ

第1部 第2部 第3部
覚醒♪ 到着♪ 出撃♪
誕生♪ 完食♪ 迎撃♪
発生♪ 報告♪ 惨劇♪
命名♪ 装着♪ 感激♪
決定♪ 変装♪ 終劇♪
登場♪ 錯綜♪ 衝撃♪
到来♪ 接続♪ 反撃♪
限界♪ 宣告♪ 目撃♪
設定♪ 驚愕♪ 再誕♪
再会♪ 慟哭♪ 共鳴♪
提案♪
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