到来♪初めて感じるフィーリング♪
〜トウライ ハジメテ カンジル フィーリング〜



「この子は・・・破棄させません。」
力強く、ゆっくりとその人は言った。
「な!失敗作だぞ!?なぜだ!?」
「イリーガルな存在にどんなメリットがあるというのかね?」


「メリットならあります!」

自信満々の声でその人は続ける。
「今後のボカロ開発のための耐久力データや活動データ・・・」
「―ムッ!?」


その言葉に周りの人は息を飲む。
「必要ですね?この子がいれば、それらの収集ができます。
「だが、歌うことができないボーカロイドなど・・・
「この子のデータは、今後のボーカロイド開発の基礎になります!


その人は一歩も譲らなかった。
あたしは、そのやり取りをただ見つめるだけだった。
颯爽と現れた
その人
あたしを庇ってくれている・・・のだよね?


「ふぅ・・・わかった。」
「!!ッそれじゃあ・・・」

「今回は君の顔に免じようじゃないか。」
「確かにデータは必要だ。他の開発部のイニシヤチブになる。」


「あ、ありがとうございます。」
その人
は頭を下げる。
あたしは、ワケもわからず茫然としていた。
急に
その人がくるりを後ろを向いて、ウィンクをくれた。





「よかったわね・・・本当に・・・」
「・・・え・・・あ・・・は、ほそっ・・・」

お礼を・・・お礼を言わないといけないのに。
壮絶に舌を噛んだ。


ロレツ、回らないよ・・・
だって、
あたしの思考は停止寸前。
口から血がダーっと出ていても気にもならかった。
痛いとか怖いとかそんなのは全部無くなっていた。


その人の笑顔に見惚れててボーっとしてたから。
口の中がカラカラに乾いてて、咄嗟に言葉が出ない。
なのに緊張とかしてなくて、心の中はいっぱいに満たされてる。
誰かがこんなに優しくし接してくれた・・・生まれて初めて・・・


運命の人・・・そう思った・・・ううん、きっとそうだ。
思いがけない出会い。
名前も知らない人。
でも、全身全霊で
あたしを守ってくれた人。


「MEIKO君、仕事の方はいいのかね?」
「あ・・・いけない。すぐに戻ります。」

その人は周りの人たちにペコリと頭を下げる。
そして一気に走り去っていた。


MEIKO・・・様・・・って言うんだ。
あたしはその名前を心に刻みつけた。
忘れない。
絶対にッ・・・!!!!


その日、ホントなら破棄されるはずだった
あたし
でも、信じられないような奇跡が待っていた。
MEIKO様。
それはまさに運命の出会いだったの−



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概要

もくじ

第1部 第2部 第3部
覚醒♪ 到着♪ 出撃♪
誕生♪ 完食♪ 迎撃♪
発生♪ 報告♪ 惨劇♪
命名♪ 装着♪ 感激♪
決定♪ 変装♪ 終劇♪
登場♪ 錯綜♪ 衝撃♪
到来♪ 接続♪ 反撃♪
限界♪ 宣告♪ 目撃♪
設定♪ 驚愕♪ 再誕♪
再会♪ 慟哭♪ 共鳴♪
提案♪
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