決定♪あたしこれからデストロイ♪
〜ケッテイ アタシ コレカラ デストロイ〜



イリーガルって、いい意味じゃないですよね?
そんなのが名前って・・・ちょっと嫌な気が・・・
そもそも、それってホントにあたしの名前なんですか??
そう思って、勇気を出して聞いてみた。


「あの・・・あたしって、01なんじゃ・・・?」
ボーカロイドの第1号
それが
あたしじゃなかったの?
最初はそう呼んで貰いましたよね・・・???


「失敗作が何言ってんだ!」
「ひっ・・・」

また怒られた。
今日何度目かな・・・


「お前・・・存在自体がイリーガルなんだよ!」
「失敗作が自分のことを初号機とは・・・呆れるよ。」
「あれじゃないッスか?失敗01号ってことで?」
「はぁ、笑えません、それ。」


・・・
あたし・・・あたし・・・
「何笑ってるんだよ!イリーガルがっ!!」
「ひぅっ・・・」

だって・・・笑うしかできない・・・歌えないから・・・


「歌えない以上、存在価値はないのでは・・・?」
「そうだな・・・予算の計上の問題もあるし・・・」
「正規のボーカロイドの開発、始まったと聞きますが?」
「そんな!?・・・成功していればウチが・・・」


苦々しい!という視線が
あたしに向けられる。
でも、
あたしは・・・
「え、えへへ・・・ひっへへへ・・・」
笑うしかできない・・・泣きながら笑うしか・・・・


歌唱実験はまたまた失敗。
止まらない
ハウリング
最近は、どんどん酷くなっている感じもする・・・
理由は全然分からないまま。


あたしは部屋に戻るよう命令された。
ベッドが置かれてあるだけの小さな部屋。
右上には監視用のビデオカメラ。
灰色の壁には窓もない。


この部屋って・・・あまり好きじゃないよ・・・
だって、ここはいつも怒られた後に戻ってくる所だから。
することなんてコレと言って別にない場所

だから
あたしはベッドに入って、毛布を頭からかぶる。


そして泣いた。
声を殺して泣いた。
今日も。
いつもと同じように。





でも、泣いていたら、すぐに放送で呼び出された。
一番最初にあたしが起動した場所へ。
そこで−
あたしは自分が破棄されることを伝えられた−



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概要

もくじ

第1部 第2部 第3部
覚醒♪ 到着♪ 出撃♪
誕生♪ 完食♪ 迎撃♪
発生♪ 報告♪ 惨劇♪
命名♪ 装着♪ 感激♪
決定♪ 変装♪ 終劇♪
登場♪ 錯綜♪ 衝撃♪
到来♪ 接続♪ 反撃♪
限界♪ 宣告♪ 目撃♪
設定♪ 驚愕♪ 再誕♪
再会♪ 慟哭♪ 共鳴♪
提案♪
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